![]() 実録ヘッドハンターへの道 |
2000/4/19掲載![]() ●第7話● |
(その6) |
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テーブルを挟んで座ると、さっきまでの小柄な老人の印象は消え、威風堂々、背丈も自分と同じくらいの感じを受ける。 |
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| どうしてだ!完全に気持ちが読まれている。 慌てながらも平静を装い 「実際、考えたことなどありませんよ。ほ、本当なんだから!」と答えたが、やはり慌てていたのか、最後は女言葉になってしまった。 いけない。ニヒルな自分を早く取り戻さなければ。 そして、その場の雰囲気を変えるつもりで、思わずエヘンと咳払いをした。 そこまではよかったが、力を入れすぎたせいか、口に当てた手をテーブルに戻す時、その手をコーヒーカップに当ててしまい、そのカップがウォーターグラスに当たり、そのウォーターグラスがヘッドハンターの犬井氏の方に倒れ、こぼれだしてテーブルの上を自分のほうに押し寄せてくる水を避けるため、年に似合わぬ身軽さで犬井氏は椅子の上に飛び上がった。呆然としてこちらをみつめている。 確かに雰囲気は変わった。間違いなく変わった。完璧に変わった。 「どうぞお使い下さい」とハンカチを差し出した自分の手が震えているのがわかる。もう、ヘッドハンティングどころではない。逃げ出してしまいたい。その時、犬井氏の声が静かに聞こえた。 「さあ、それでは本題に入りましょうか」 |
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| 後は完全に犬井氏のペース。 相手企業の内容を聞かされ、条件を聞かされ、なんとなく全てに納得して、次に合う日を約束して別れた。 シミュレーションを重ねて臨んだ今日の日であったが、気持ちはまさに"戦い破れて日が暮れて"の心境。 自分が転職するという当初の目的よりは、ただヘッドハンターは凄いという印象が残っただけであった。 あんな人になりたい。 富田がヘッドハンターを目指し始めた瞬間であった。 |
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